□ 家を建てるプロセスの確認 □ 

「家を建てるプロセスの確認」

 *アメリカでは「建築家に住まい造りの相談をする。」と言い、日本では「建築会社に家を注文する。」と言う。 この表現の違いは、家造りに対する基本的な考え方の違いから来ている。* 

 

 設計と言うのは「家造り」の本筋の計画であり、施工はその内容を実行する部門。 そして監理とは、その実行内容が当初の計画に則しているかをチェックする作業である。

 話をすれば正論であるが、日本の現状はそう簡単ではない。 日本では「大工さんに頼む」というスタイルを取ってきた経緯もあり、一般の中に「設計と施工」の区別がつかないでいる場合が多いからだ。

 これは日本特有の意味あいを帯びた「請け負い」というシステムとも深いつながりがある。 本来「請け負い」とは、細部を確認の上お互いが納得して、すべてを了解するということで、決して悪いことでも何でもない。 しかしこれには「信頼」という2文字が大前提である。 

 ところが現在は、「請け負ってしまえばこっちのもの」的な業務の仕方をする輩が多く、一般の住宅会社の信頼を失墜させている。 「だからメーカーに頼む、だからメーカーの方が安心できる。」 という構図が成立しているのだ。

 

 賢明なオーナーは、メーカー自体特別にハイパフォーマンスなものでもないことぐらい知っている。 それは何かあった時に「責任を取ってくれそうだ」ということを買っているのである。 

 世の中「高ければ高いなり、安ければ安いなり」なのはいつでも、どこでも変わることはない。

 

 ただ一番根本的なところでオーナーは悩む。 「お金」つまり資金の問題である。

このフィルターがかかると、設計者の側にも「親切心」に欠ける点を指摘されるかもしれない。 日本の設計者は今でも「デザイナーはお金のことは範疇外だ。」と考えているようで、アメリカの設計者のようにトータルプロデュースするという意識がない。 そこを建築施工業者は巧みにセールスするのである。 

 これは施工業者の企業努力であり決して悪いことではないが、こうして「請け負った」あとが不透明になってしまいがちなのが問題なのである。 「設計や監理は当社の1級建築士が無料サービス致します。」などといわれて、契約に至る。 

 しかし考えれば業者とて、設計監理には費用がかかる。 見積もり項目に「設計料」がないだけで実質的にはどこかに上乗せされなければやっていけない。

 

 この、「設計監理費用」が隠されていると言うことが何を意味するのか。

それは「設計監理」の重要度の後退、つまり家造りの本質的な計画と、施工に対する監理が限り無く弱小化されていくということを意味している。 

 

 現在の住宅生産システムからみれば、設計監理を建築士に頼み、地場の直接施工する業者に施工を頼んだ場合と、一切を住宅会社に頼んだ場合とではその代金にはほとんど差がなく、かえって実質的に設計監理分離の発注の方が良い住まいができる可能性が高い。 それには設計者の方も「トータルプロデュースする。」という決意と能力を示さねばなるまい。

 

2002/02/27

*毎日新聞「欠陥住宅」参考